土用の丑の日に鰻とか、
風物詩になっているので、
とても気になるものの、
どうしてもその日に食べるのは、
商業的にあおられてる感じで。
関東風に蒸したほうがあっさりとか、
関西風にワイルドに焼いたほうがいいとか。
ちなみに、
鰻が名物の浜松では、
お店によって、
蒸したり蒸さなかったりするんだって。
4年前に福岡に出かけて、
博多から足を伸ばして柳川へ。
そこで食べた鰻のせいろは、
ちょっと特別感があって、
ありがたくもおいしいのでした。
新橋駅すぐの古民家に、
鰻せいろの店「高の屋」が開店したのは、
ほんの1年前のことです。
こんな建物が残っていたとは、
ちょっと驚きですが、
内装も落ち着いて、
ゆっくりと鰻を楽しめます。
注文してしばらく、
白木の蒸籠が運ばれてきます。
「銀座 高の屋」と名が彫られて、
早く開けたいと、
少し気が急くのでした。
そうだ、こんなんだったと、
その盛りの美しさがあらためて嬉しい。
深いたれ色の鰻に、
眩しいほどの錦糸たまごが、
ほわっと湯気を揚げて現れました。
鰻の表面は波打つようで、
生きのいい締まった奴だったのかと、
ありがたい気持ちになります。
たれを合わせた飯を入れて、
そこに鰻を乗せて蒸籠で蒸すので、
何もかもがふんわり。
鰻の焼き心地も、
飯の一粒一粒も、
それぞれがしっかりと、
存在感をもって、
それでいて最高な調和を生み出しています。
口に入れれば、
飯はほろほろと、
鰻の身はふわふわと、
蒸籠がそのまま、
自らの口になってしまったようで、
またまた嬉しいのでした。
肝吸いはあくまでも品よく。
これがあるから、
ガッツリと食べる鰻の野性味が、
旨い具合に感じられるんだなぁ。