【食べ歩き|「蔦」飛騨高山】83歳が作る感動の高山に伝わる家庭料理

祐成陽子先生は、
四谷のフードコーディネーターのスクール、
祐成陽子クッキングアートセミナーの校長先生。
自分も昨年通いました。
そして今夏は嬉しいことに、
飛騨高山の先生の別宅に伺って、
高山のいろいろな魅力を教えていただいたんです。

そのうちの一つが、
高山の伝統家庭料理の店「蔦」です。

47年前に開業した雰囲気のある一軒家。
昼と夜、予約制の丁寧なおもてなしです。

83歳の中井つた子さんが作る料理は、
どれも優しく繊細で、
地元の時季の食材を使った、
嬉しい料理ばかりでした。

8月お盆の頃の昼餐は、
この色合い豊かな先付から。

蓮根と胡桃の団子の吸い物
紫蘇ジュース
生麩の煮物
オクラのお浸し
あまごの煮つけ
かぼちゃの真薯
若竹の煮物

どれも丁寧で上品な味で、
特にオクラは苦みもなくすっきりした仕上がり。
聞けば、切ってから茹でるそう。

あまごはふっくらと煮られていて、
頭からしっぽまでいただけます。
もともとが東北地方の家系なので、
あまり馴染みがなかったのですが、
これは夏らしくておいしい。

蓬生の入った五平餅。
よもぎの香りはもちろん、
その、荏胡麻のペーストが、
かすかな刺激をプラスします。

新鮮な鮎に、
絶妙な塩加減。
ものすごいバランスの納得感で、
静かな嬉しさがこみ上げてきます。

そうめんは、
シンプルながらも、
出汁の優しさがたまらない。
キンキンに冷えていないんです。
でも、それが麺そのものの旨さを引き立てます。
なるほど、奥が深い。

蕨に岩梨の酢の物。

いわなしは初めて食べました。
お店の人が「小さいミカンみたいでしょう」と。
確かに。
地面を這うように育つ植物で、
夏にこのような実になるそうです。
プリっとした舌触りがいいアクセントになります。

それに、
この味がまたまた優しい。
お店の人に促されて、この汁を飲みました。
スッキリ。よい口直しです。

食事は、
子芋の煮っころがしに、
キュウリと、高山の小さな茄子のお新香。
椀は、赤みそに大根、お揚げに木耳で、
それだけでも贅沢。

ごはんは、
客が来てからガスで炊き始めるそうで、
ジャーに入れることもないから、
ふっくらとした食感と、
甘い香りを存分に楽しめます。

締めには無花果の水菓。
生で食べるときの、
モワッとした食感がなくなり、
含んだ甘い汁がそのしなやかな繊維感を引き立てます。

時間が止まったような店内は、
隅々まで磨かれて、
そっと、息をしているようでした。

店を出ると、
お店の方が出て見送ってくれました。
そして、次は10月9日においでと。
高山の祭りの頃には、
祭り料理を出してくれるそうです。

高山「蔦」

 

 

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